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森津の藤

森津の藤

弥富町指定 天然記念物

 

弥富町指定天然記念物「森津の藤」(昭和51年12月10日指定)

1647年、森津新田開拓時に植えられたと伝えられています。
尾張名所図解に、「棚の広さ縦横十五間四面およそ棚の高さ二間ばかりにして、
花の長さ四・五尺より一間程にも及べり」と紹介され、花が満開になると昼間でも空が見えず、
まるで、紫の雲に覆われたようだとも記されています。

昭和34年の伊勢湾台風で海水につかり、棚は壊れ、藤が丸まってしまいました。
樹勢はひどく衰え、翌年は7月に小さな花が少し咲いただけとのことです。
元の持ち主のおばあちゃんが管理していた昭和40年・50年頃は、四尺の花が咲いていました。

昭和62年に寄贈されてからは弥富町の管理下に入りましたが、年々、花房は短くなり、
平成8年頃からは、花房の長さは60cmくらいでした。。
さらに、平成14年にいたっては43cm~53cmで、
棚面積の1/3は花が咲かない状態となってしまいました。

 

平成14年(2000年)度 治療の経緯

私の治療方針を全面的に支持してくださるとのことで、
5月15日から51日の応急処置的な治療を行いました。
すると、翌平成15年5月6日には、花房は最長で92cmにもなりました。
これは、なんと10年ぶりの長さとのことで、町の担当の方も大変喜んでおられました。

私にはなぜこの「森津の藤」が衰えてきたのか原因がわかっていますので、
今後5年かけて治療すれば、また、4尺の花房を咲かせてくれるだろうと思います。
また、さらに時間と手間を掛け、5尺の花を咲かせることが私の目標です。

2003年4月末撮影

2003年4月末撮影
写真をクリックするとさらに大きな写真が見られます。

2003年5月6日撮影

2003年5月6日撮影
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その後

平成14年度の応急治療により、樹勢も随分回復し、
前出のような花を久しぶりに咲かせてくれた「森津の藤」ですが・・・
残念ながら、翌平成15年度以降、私が管理することはできませんでした。平成15年度は以前からしばしば管理をされていた地元の造園業者様が管理されたと耳にしております。

公共の藤ですので、入札などを経て、ルールに従い管理者を決めるのは致し方ないことです。
私の5年計画は少々躓いてしまいましたが、この藤を愛する想いは変わりません。

今は直接この藤の管理に手を出すことができない立場に戻ってしまいましたが、
樹木医の責任として、弥富町職員の方をはじめ、この藤に係わる沢山の皆様に、
微力ながら私のノウハウを伝えていければと思っております。
また、ご縁があってこの「森津の藤」に携われました時には、
"夢の五尺"を目標にしようと思っております。

 

平成16年の森津の藤

平成15年度の管理は、残念ながら私の手から離れたものの、
平成14年度の私の応急治療で随分樹勢が回復いたしましたし、
私自身も微力ながら平成14年度の治療で得られた方向性などを
関係各位に提供させていただいておりましたので・・・

まさかこんなことになってしまうとは夢にも思わなかったのですが・・・

2004年5月14日撮影

2004年5月14日撮影
(手前の部分は枯れてしまっています。所々緑色の部分は、新たに植えられた違う種類の藤です。)
写真をクリックするとさらに大きな写真が見られます。

2004年5月14日撮影

2004年5月14日撮影
(手前の部分は枯れてしまっています。所々緑色の部分は、新たに植えられた違う種類の藤です。)
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平成16年4月30日、久しぶりに「森津の藤」を見に行き、大変びっくりいたしました。
なんと、大きく枯れてしまった部分があるではございませんか・・・!

幸い、天然記念物指定されております株は少し枯れた程度だったのですが、
とはいえ、私が手塩に掛けて回復させた「森津の藤」が、
また、この様な姿になってしまっているのを目の前にいたしますと、胸をえぐられる思いです。
更に、枯れた部分に代わりとして植えられた藤は、驚きましたことに、なんと別の種類の藤でした。

早速、関係各位には、天然記念物と同じ藤に植え替えていただくようお願いをいたしました。
枯れてきている原因も、腐朽部分の削り取り過ぎなど、
少し配慮していただけていれば、こんな結果にはならないような、基本的な過ちと見受けられます。
また、やはり、管理された業者様にもご都合がお有りとは思いますが、
管理方法も、従前の方法に戻ってしまったとのお話を耳にしております。

天然記念物にも指定され、昔から皆に親しまれて来た大切な藤ですので、
代わりを植えつけるのではなく、
少しでも「森津の藤」を長生きさせる方法を模索していただければと願って止みません。

平成16年度も、平成15年度と同じ造園業者様が入札の結果、管理をされることになったそうです。
私が、この様なホームページに多くのことを書きすぎますと、
逆に、入札に勝てなかったことの腹いせと、誤解を受けかねないことと思います。
それゆえ、私は、もう、これ以上、何も書くことができません。

私一人の力には限界がございます。
そこで、このホームページをご覧いただきました皆様に一つだけわがままをお願いさせてください。
是非、皆様ご自身の目で、「森津の藤」をご覧ください。
私の真意が、一目でご理解いただけることと思います。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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